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4月28日(水) 7日目 父の旅立ち

朝目覚ましをかけた時間よりも2時間早く目覚めた。
緊張しているのか、ふわふわとした不思議な感覚。遠足に行く時、こんな気分だった気がする。
父にとっては旅立ちの日だ。素敵な旅になることを願いたい。
家からはタクシーで火葬場に向かう。
車に乗ると、息苦しさを感じた。
会場に着くと、すでにいくつかの家族が火葬のためのセレモニーを行っていた。
その光景を見て、悲しいのは自分だけではないんだ。と不思議な安堵感があった。

待ち合わせ時刻より、30分早く葬祭業者と葬祭業者が用意してくれたお坊様は到着してくれた。
ご挨拶をして、先に帰るお坊様にはお礼として6万円(お経代5万、足代1万)を封筒に入れてお渡しした。
そして、定刻になった。

家族みんなでエントランスホールに行き、棺桶を出迎えた。そのまま火葬装置の前へ連れて行った。
初めに、葬祭業者より、今回は顔を見せることはできない(幼い孫達が見れる状態ではなかったための措置)旨の説明があった。
皆は泣きながら、仕方ないね。と納得するしかなかった。

その後、棺桶の上に、花束や衣類、生前よく食べていたお菓子。
父は私たちに幼い頃に買ったぬいぐるみで、実家におきっぱなしのものをリビングの家具の上に並べていた。そのうちのいくつかを並べた。
お別れのことばを各々告げ、火葬場の職員さんにより、装置の中に入れられていった。
次に御焼香を行なった。みんな涙を流していた。ここが悲しみのピークだった気がする。物理的な体とお別れをする。ここからは身軽に家族のもとへ動けるのだろうか。
であれば、大好きだった孫達のそばにいつでも行けるのか。
死ぬ当日まであっちこっち歩き回っていた父。
それはそれで幸せなのかな?と考えた。

待ち時間、待機室が数千円で借りることができたので、お茶やお菓子を食べながら待っていた。
私の家族は、父が号令をかけない限りは集まったり、連絡をすることはほとんどない。(冠婚葬祭くらい)
前回集まったのは2年前だったか。
友達や、職場の同僚で、家族とライン、メールをマメにしている人がいるが、私からするとうらやましかった。兄弟2人でご飯とか食べにいった記憶もないし、今回の件がなかったら、想像もできなかった。これからは勇気を出して、誘ってみよう。
そんなことを思いながら、父からすると孫達が集まっているこの状況をどれだけ見たかったか。私が引っ越さなければ、定期的に顔を出すなどできていたのに。そうしたら、もしかしたら助かったかもしれない。すごく悔しい気持ちでだった。

待ち時間の間に火葬業者と話す時間があった。
お金を精算し、今回は葬儀がなかったため、40万円ほどの支払いとなった。
・葬祭業者としての支払い31万円
・遺体の死因を知りたかったため、希望した9万円を警察から立て替えてくれていたので、それの支払い。
今回、特殊な状況で亡くなった父だったこともあり、葬祭業者のお知恵をお借りし、いくつか、質問をしてみた。

Q1.私の父の現場は酷かったですか?
「お父様はベッドでなくなっていたし、布団がほぼ吸ってくれていた。床で亡くなれば、腐るけどね。衣類があるから、臭いもある。それらを片付けてしまえば、臭いも消えていくと思う。そう考えると、普通に家で亡くなった方と一緒ですよ」

Q2.定義上は事故物件になるが、どうやって処理をしている人がいるか経験的にご存知ですか?
「先ほど申し上げたように、今回の事例は、家で亡くなった方と一緒。告知は必要になるとは思いますが、あの程度なら、家賃が安ければ私も住みたいくらいですよ」

Q3.なぜ、葬祭業者になったのか。
「私も父が亡くなってからこの道に入りました。父が死んだ時に、色々と思うことがありまして・・・」

くだらない質問にも丁寧に答えてくれた業者、こちらの要望にも全て答えてくれた。
最後に、「とても素晴らしいお仕事だと思いました。本当に感謝しています。
ありがとうございました。」と気持ちを伝えた。
その気持ちを照れながら、素直に受け止めてくれた。
きっと何か、親を亡くした時に感じるもので通ずるところがあったのかもしれない。

火葬から1時間20分ほどで収骨のアナウンスが入った。
部屋を片付け、火葬装置の元へ向かった。

装置が開き、遺骨との対面。久々だったので、人体模型のような姿を想像していたが、骨は人の形をしていなかった。部分部分に骨がある。そんな感じ。

2人で一つの骨を壺にいれていく。
ここまでくると、楽になれたんだな、という思いで、緊張感が薄れてきた。
田舎の墓と、こちらの壺。2つの壺と、散骨用のジップロック。
火埋葬許可証と2枚の分骨証明書を収めてくれた。

その後、葬祭業者にお礼を伝え、実家へ。
亡くなっていた寝室に置き、親族各々で、線香をあげる。
これで、一つのやることが終わった。

あとは、各種契約にの解除と相続手続が大きなところか。
こうやって、物事を考えているととても気が楽になる。
ふとした時に父のことを考えてしまい、いい歳をして、
号泣してしまうから。

昨日約束をした、司法書士の方と待ち合わせの時間。ファミレスでお話を聞いてもらった。
相続税がかかるのは控除される、3000万に加えて、法定相続人3人×600万。
計3,800万円。さらに、生保があるので、3人×500万円を加えて
5,300万円までが相続税がかからない金額。とのこと。
家については、遺言書という形態になっていないため、兄弟3人で3分割という形しかとれない。その後兄弟で父の意思通りに、分けるのは構わないが。

実家は父が生前「妹には臓器が弱い子(孫のこと)がいる。手術も必ず必要でお金もいずれかかるから、家は妹一家に譲る。」との意思があった。しかし、状況が状況のため、売るのか、賃貸に出すのか。
はたまた、そんなにひどい状況ではないため、一時的に誰かが住んで、告知義務が消える頃に売るのか。それは妹の判断に任せたい。
妹が妊娠中に精神的負担が増えるのが、とても辛いが、なんとか耐えてもらいたい。
頑張ってくれ。元気なこどもを産まないと父も浮かばれない。
そのために、兄として何ができるのか。考えていきたい。
お知恵がある方は教えてほしい。
先生には、とりあえず、5,300万円は家の評価額で変わる。自分達で計算して、
超えるようであれば、税理士も交える旨を伝えた。

意外と超えるのか?家次第か。

バタバタとした一日が終わった。

夜になると妹からのメッセージが入った。

「先月、検査入院をしていた〇〇(臓器が弱い子)の結果が出て、臓器移植が必要だって、今主治医から連絡が入った。」
という内容だった。
なんというか、こんなことを今日言わなくても。
父が旅立った日というのに。

今日も父に感謝しつつ、姪っ子を守ってもらいたい。
父さん、ありがとう。姪っ子を守ってください。お願いします。

まとめ
・火葬日はあっという間に終わる。収骨の時には逆に落ち着いていた。
・相続手続きは大変そう。できることは自分でやりたい。けど、税金絡みは危ないからプロに任せようと思う。
・嫌なことは立て続けに起こる。

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